Schaffhausen,
2021年
4月
7日
|
14:29
Europe/Amsterdam

IWCがビッグ・パイロット・ウォッチ・ ショックアブソーバーXPLを発表

シャフハウゼン、2021年4月7日 – IWCシャフハウゼンは、オンライン開催となるWatches and Wondersで、特許取得 済の新しいショックアブソーバー・システムを搭載した初のウォッチとなるビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブ ソーバーXPLを発表します。8年以上の歳月をかけて開発されたスプリング・プロテクト・システム(SPRIN-g PROTECT system)は、ケース内のムーブメントを浮かせた状態にするカンチレバー・スプリングがベースとなっています。理想的 な形状とバルク金属ガラス(Bulk Metallic Glass:BMG)の採用により、このスプリングで、ウォッチに衝撃がかかった ときに生じる重力加速度からムーブメントを保護します。この技術で保護したムーブメントは、ケンブリッジ大学のキャ ベンディッシュ研究所で行われた衝撃試験で、30,000 gを超える衝撃加速度にも耐え抜きました。

航空創成期の機体から現代の海軍で使用される超音速 ジェット機まで、パイロットは、極限状況下にある窮屈な コックピット内で鋭い金属製の物に囲まれて操縦を行い ます。したがって、並外れた堅牢性は、常にIWCのパイロッ ト・ウォッチに求められる重要な機能要件のひとつとさ れてきました。この数年で、スイスを拠点とする高級時計 メーカーIWCは、セラタニウム®などの並外れて頑丈で耐擦 過性に優れた素材を採用することで、さらなる堅牢性の向 上に取り組みました。そして、8年間に及ぶエンジニアリン グの旅を経て、ついにムーブメントの耐衝撃性の物理的な 限界を引き上げることに成功したのです。

Christoph Grainger-Herr, CEO of IWC Schaffhausen
「F.A.ジョーンズが150年以上前にIWCを創設してからずっと、開発と革新は弊社のDNAの中核を成してきました。この度、私どもは、新しい設計部門、IWCエクスペリメンタルによってこの伝統を推し進めます。同部門は、先端素 材や重力加速度による影響からの保護といった分野にお ける最先端の開発をけん引することになります。そして、ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL は、同部門が初めて手掛けたウォッチです。あらゆるディ テールを入念に分析、改良することで、機械式時計のムー ブメントの耐衝撃性の定義を新たにしました」と、IWCシャ フハウゼンのCEO、クリストフ・グランジェ・ヘアは説明します。
Christoph Grainger-Herr, CEO of IWC Schaffhausen

ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバー XPL(Ref. IW357201)は、IWC初となるスプリング・プロ テクト・システムを搭載したウォッチです。このシステムの 中核を成すのは、ウォッチに衝撃が加わったときに生じる 重力加速度からムーブメントを保護するカンチレバー・ス プリングです。これがクッションの役目を果たし、ムーブ メントをケースとは独立して作動させることで従来よりも 緩やかに停止します。

「ウォッチが衝撃を受けると、ムーブメントとそれを構成 するパーツに大きな重力加速度がかかります。たとえば、 コックピット内でパイロットがウォッチを固いところにぶ つけた場合、その加速度は300から1000 gに及びます。 このショックアブソーバー・システムは、衝撃試験におい て、30,000 g以上の加速度でもムーブメントを非常に効果 的に保護しました」と、IWCシャフハウゼンの研究・革新の 部門長、ロレンツ・ブルンナーは説明します。

 

理想的な形状と 先進素材

これほどの優れた保護性能のカギは、スプリングの理想 的な形状と使用されている素材にあります。このスプリン グは縦横にわたって応力が均一にかかるように設計され ています。この課題を解決するには、最先端のシミュレー ション・ツールと綿密なデザインプロセスが必要でした。 第2の決定的な要因となったのは、素材としてバルク金属 ガラス(BMG)を選択したことです。高度な製造プロセス によってBMGを非結晶性の微細構造にすることで、結果 として従来の金属素材をはるかに上回る弾性を持たせる ことができました。また、超軽量のチタン製ケーシング・ リングでショックアブソーバーにかかる重量をさらに低減 しました。ムーブメントをケースとは個別に移動させるこ とが可能なシステムを備えた独自のリューズももうひとつ の技術革新です。

 

カスタムメイドの軽量ムーブメント

スプリングで保護するものの重量を低減することは、シス テム全体の性能にとって重要です。このウォッチに搭載さ れるIWC自社製32115キャリバーはカスタムメイドの軽量 構造となっており、地板などのパーツも航空宇宙産業で 採用されているハイテク素材のアルミニウム合金製で、 軽量かつ高剛性です。双方向爪巻き上げ機構が120時間の パワーリザーブを実現します。

 

実際の衝撃条件で 包括的な試験を実施

IWCは、英国ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究 所のFracture & Shock Physicsグループとの共同で、極め て現実的な条件の下でスプリング・プロテクト・システムの 性能試験を実現しました。科学者たちはレーザーを利用し た測定手法と高速録画を用いて、ムーブメントにかかる衝 撃の影響を分析しました。保護対策を施したムーブメント は、このような包括的な試験で、30,000 gを超える加速度 によるすさまじい力にも持ち堪えました。

マットブラック セラタニウム®の ステルス・デザイン

ウォッチの名前のXPLは「experimental(実験)」を意味 し、IWCエクスペリメンタル設計部門」を指します。パワフ ルなケースはビッグ・パイロットのデザインを象徴する形 状でありながら、未来を感じさせる革新的な表面処理と 外観全体のディテールが加わることでまったく新しいレベ ルのモデルとなっています。素材は、IWCが特許を持つチ タン合金をベースに開発されたセラタニウム®で、チタニウ ムと同じくらい軽量かつ堅牢ですが、同時にセラミックと 同じくらい硬く傷つきにくくなっています。棒状の素材から 加工されたパーツは加熱炉で高温熱処理されます。この プロセスで、表面にセラミックの特性が備わり、独特のマッ トブラックに仕上がります。ステルス性を備えたブラッ ク・デザインをブラックの文字盤が引き立て、風防には反 射防止加工が施されて、レザー製インレイ付きブラックの ラバー・ストラップが備わります。

製造工程が非常に複雑なため、ビッグ・パイロット・ウォッ チ・ショックアブソーバーXPLは年間10本の限定生産と なっています。ご注文は、IWCブティックまたはIWCカスタ マーサービス限定で承ります。

現在、App Storeで提供されているiOS向けの最新のIWC APPをダウンロードすると、AR(拡張現実)を利用して新しいパイロット・ウォッチをバーチャルで体験できるほか、IWCシャフハウゼンの エキサイティングな世界観、機能、特別コンテンツをご確認いただけます。

IWCシャフハウゼン

1868年、米国の時計技師であり、起業家でもあったフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズはボストンからスイスへ渡り、シャフハウゼンに「インターナショナル・ウォッチ・カンパニー」を設立しました。彼が描いた夢は、先進的なアメリカの製造方法とスイスの時計技師たちが持つ優れた職人技を組み合わせ、その時代の最高の懐中時計を作ることでした。そして彼はIWCの独創的なエンジニアリング手法の基礎を築き上げ、スイスの地で機械式時計の集中生産を確立しました。

IWCシャフハウゼンは150年にわたる歴史の中で、正確かつ頑丈で、顧客にとって使いやすいクロノグラフやカレンダーなどの機能を組み合わせた時計を生み出すことで高い名声を得てきました。またIWCは、チタンやセラミックなどの素材の先駆者であり、チタンアルミやセラタニウム® などの先進的な素材を用いたテクニカルウォッチケースの製造もおこなっています。華美な装飾よりも「形態は機能に従う」という原則を優先するスイス時計メーカーとして、時代を超越した製品への思いは、まさに人生を旅するオーナーたちの夢と志を体現しています。

IWCは、責任を持って素材を調達し、環境への影響を最小限に抑える措置を講じながら、何世代にもわたり受け継がれる持続可能な時計を生み出しています。また、すべての従業員に快適な職場環境を提供し、誇りをもって未来を担う時計職人とエンジニアたちへのトレーニングを実施しています。さらに、IWCは子供たちと青少年への支援に向けて世界的に活動している組織とも提携しています